絵巻物で最初に「龍」を見たのは、2013年の「東京国立博物館140周年特集陳列 博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ」における『日高川草紙(模本)』でした。『日高川草紙』は『賢学草子』とも呼ばれ、『道成寺縁起』とほぼ同時代に書かれた異本であり、『道成寺縁起』をもとに仏教色を薄くして、御伽草子的要素が強いとも言われています。


<物語>
三井寺の僧である賢学は、遠江国橋本宿の長者の娘と結ばれる運命にある、と神様から夢のお告げがありました。
そこで、実際に遠江国橋本宿に行ってみると、そこには5歳になる花姫がいました。賢学は修行の妨げになると思い、懐に偲ばせた刀で花姫の胸を刀で突いて逃げました。幸い姫は一命を取り留めました。
傷も癒え美しく成長した花姫は京都へのぼりました(このとき姫は16歳)。賢学は、花姫とは知らずに、京都清水寺で運命的な再会を果たし、賢学は一目惚れをして花姫と結ばれます。
その後、賢学は自分が刀で刺した娘であることを知り、花姫との逃れられぬ因縁を思い知ります。そこで、賢学は仏教の修行のために花姫を捨てて熊野へと向かいます。
水かさの増した日高を船で逃げる僧・賢覚の後を追いかけ、娘が入水する。

花姫はやがて蛇身に変じ、賢覚のあとを追う。賢覚は「南無大聖不動明王、三所権現」と唱え、大蛇を追い払おうとする。


岸に着いた賢覚、今度は「南無三宝」と唱えて必死に逃げるが、雷鳴のような声をとどろかせ、爪を立てた大蛇がその後を追う。

賢覚はとある古寺にたどり着き、釣り鐘の中に隠れたところ、
大蛇がその鐘に巻き付く。
大蛇がその鐘に巻き付く。

花姫は鐘を壊して賢学を取り出し、賢学とともに川の底へ潜る


その後、賢学の弟子達が二人のために、念仏で供養をする。
■道成寺縁起と日高川草紙との共通点と相違点(坂本亮太氏による)
■道成寺縁起と日高川草紙との共通点と相違点(坂本亮太氏による)
<共通点>
・僧が熊野へ向かうこと、
・女性がそれを追いかけて日高川を渡る中で大蛇に変身すること
・僧は寺の梵鐘に隠れること
・僧と女性が供養されること
などの共通点があります。
<違う点>
・主人公(男女とも)の名前
・出会いの場面→日高川草紙では京都の清水寺
・アプローチ→日高川草紙では僧が女性に一目惚れ
・蛇への変身→日高川草紙では足下から蛇に変身(顔は鬼の面)
・蛇への変身→日高川草紙では足下から蛇に変身(顔は鬼の面)
・逃げ込んだ寺→日高川草紙では、「とある古い寺」とあるだけで道成寺とは記されない
・鐘をどうするか→日高川草紙では鐘を壊して僧を取り出す
・供養の方法→日高川草紙では念仏で供養
(下記は、筆者が追加)
・最初の出会い:日高川草紙では花姫の幼少のころの記述がある
(下記は、筆者が追加)
・最初の出会い:日高川草紙では花姫の幼少のころの記述がある
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