はじめに
自称龍楽者にとって、「龍のかたち」については、興味の対象です。今回は下記の3つの絵巻に登場する龍のかたちを紹介することを主眼とします。
自称龍楽者にとって、「龍のかたち」については、興味の対象です。今回は下記の3つの絵巻に登場する龍のかたちを紹介することを主眼とします。
・道成寺縁起
・日高川草紙
・華厳宗祖師絵伝
道成寺縁起
道成寺縁起
『道成寺縁起』は能や歌舞伎などの題材ともなっている安珍・清姫のよく知られている物語の原書とされています。『道成寺縁起』には、そのもととなっている道成寺説話として諸記事があると、内田賢徳氏が続日本絵巻大成13で紹介しています。
『大日本国法華経験記』(11世紀半ば)下第129「紀伊国牟婁郡の悪女」
『今昔物語集』巻第14「紀伊国道成寺の僧、法花(華)を写して蛇を救う語、大3」
『元亨(げんこう)釈書』巻19「霊恠(怪)」
内田賢徳氏は続日本絵巻大成13の中で、『道成寺縁起』と『大日本国法華経験記』の文章の共通点と相違点について比較した考察も記しています。(p160)
『今昔物語集』は 平安時代末期(1120年代~1449年の間と推定される)に成立した説話集です。物語の内容は『道成寺縁起』とよく似ており、安珍・清姫という名前は出てきませんが、『道成寺縁起』は15世紀後半に『今昔物語集』を絵巻にしたのでは、というのが私の感想です。

『今昔物語集』は 平安時代末期(1120年代~1449年の間と推定される)に成立した説話集です。物語の内容は『道成寺縁起』とよく似ており、安珍・清姫という名前は出てきませんが、『道成寺縁起』は15世紀後半に『今昔物語集』を絵巻にしたのでは、というのが私の感想です。

清姫は水に飛び込んで大蛇の姿となり安珍を追いかける
日高川草紙
絵巻物で最初に「龍」を意識したのは、2013年の「東京国立博物館140周年特集陳列 博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ」における『日高川草紙(模本)』でした。『日高川草紙』は『賢学草子』とも呼ばれ、『道成寺縁起』とほぼ同時代に書かれた異本であり、『道成寺縁起』をもとにして、仏教色を薄くして、御伽草子的な性格を持っています。
和歌山県立博物館の学芸員である坂本亮太氏は、『道成寺縁起』との違いについて記しています。(【3】で紹介します)

女は蛇身に変じ、水に飛び込んで賢覚のあとを追う
華厳宗祖師絵伝
『華厳宗祖師絵伝』は、安珍・清姫の物語とは関係のないお話です。新羅の国から仏教の勉強のために唐に渡った美男の僧を慕った美女が、僧が修行を終えて帰国の際に龍となって僧の船を守り新羅国に送った、という物語です。

善妙は龍に化身し義湘が新羅へ帰国するのを守護する
おわりに
この後、3つの絵巻で挿入されている「龍」を紹介します。
2013年の東博における『日高川草紙(模本)』の展示で得た情報をもとに作成したホームページをこちらでご覧ください。
龍の謂れとかたち 日高川草紙(模本) (mmrs.jp)
【参考とした文献など】
*1:今昔物語集 原文 巻14第3話 紀伊国道成寺僧写法花救蛇語 第三
*2:続日本絵巻大成13 道成寺縁起
*3:日本絵巻大成17 華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)
【1】三つの絵巻
【2】道成寺縁起
【3】日高川草紙
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